2019年8月30日金曜日

穿つ。

先日の国際学会で話を聞いて
「ひょっとして日本にもいるんじゃないか・・・?」ということで
さっそく実習の磯採集で探してみました。
小さな孔がたくさん空いた巻貝を拾ってみたら・・・
いました。

7月の勢水丸で採集したものに続いて,
この夏は穿つコケムシがアツイ。

2019年8月23日金曜日

ちごけむし

稚児毛虫(ちご・けむし)・・・ではありません。
血苔虫(ち・ごけむし)です。
静脈血のような暗赤色の群体からこの名が付いています。
今日はそんなチゴケムシの稚児(幼生さん)のお話。

チゴケムシの群体

先日の海洋実習で,ホタテガイにこのコケムシが多数付着していました。
そんな群体を割ってみると,個虫の縦断面が簡単に観察できます。

触手冠が入っている個虫のほかに,丸いものが詰まっている個虫もあります。
じつはこれ,発生途中の幼生なんです。

出てくる幼生は鮮血のような鮮やかな赤色

よく見ると,幼生入りの個虫は触手冠を含むポリプ体が退化しているのがわかります。
チゴケムシは卵室をつくらない代わりに,こうして虫室の中で幼生を保育します。

これらの群体を水槽に入れておいたところ・・・
多数の幼生が泳ぎ出ていました!
赤い点々はすべてチゴケムシの幼生です。

この後,水槽内のあらゆるところに付着して,水槽が赤い点で埋め尽くされました・・・

2019年8月3日土曜日

熊野灘でドレッジまつり

今年度2回目ですが,勢水丸に乗船してきました。

今回は学生の体験実習としての乗船でしたが,
その内容はプランクトンと底生生物をがっつり採りまくる濃厚なもの。
特にドレッジは毎日2地点あり,
大量の泥や礫を洗い出してはソーティングや観察に没頭する研究航海を,
学生たちも思う存分「体験」できたと思います(^^)

海況が心配でしたが,幸い台風の合間で天候にも恵まれ,
計画通りすべての調査を実施できました。
最後は片付けの時間確保のため,ドレッジの地点を1地点減らしましたが,
それでも十分すぎる成果を得ることができました!
学生が研究しているウニやウミクワガタも多数得られて良かったです。

もともとコケムシがいそうな地形を調査地点に選んだわけですが,
得られたほぼ全ての礫にコケムシが付いており選別が大変でした・・・( ̄▽ ̄;

最後は浅めの砂泥底で生きたスナツブコケムシも大量に得ることができました。
この海域の情報が抜けていたので,こちらも大きな成果です。

あと,深海から予期せずレアな腕足動物や穿孔性のコケムシも複数種得られて大満足!
この貝殻の写真に2種類の穿孔性コケムシの群体が写っているのですが・・・

船員の皆様や参加した学生に感謝です!

2019年8月2日金曜日

池にいます

先日、久しぶりに淡水コケムシを採集してきました。
3ヶ所めぐって、2綱2目5科6属6種の群体が得られました。
休芽を含めるとさらに数種はいそうです。

ヤワハネコケムシ
透明でぷにぷにした外包が特徴。
大きくて観察しやすく、透き通っていて美しい種です。

ヒメハネコケムシ
2011年にRumarcaellaに所属を変更した種です。
本種は日本以外ではほとんど報告がありません。
せっかくなので再記載しますかね~
あっ・・・休芽を放出しました。

オオマリコケムシ
言わずと知れた、外来種。
このあと研究室で大量に幼生を出しました。

カンテンコケムシ
レッドデータブックに載ることもある稀少種。
大きな個虫は、たぶんコケムシの中でも最大級。

やっぱり淡水もいいですね~(^-^)