2016年8月24日水曜日

お仕事道具4


今回紹介する道具は、解剖ではなく、じっくり観察するときに使う道具です。
「コケムシならでは」のものが多いかも・・・

まずは、これ。
各種スポンジと粘土です。
コケムシの群体や付着基質はいろんな形をしていて、
なかなか見たい方向で静止させることが難しい場合もあります。
そんなときに、これらの道具を 「足場」 として使います。

つづいて、これ。
プラスチック製のスポイトの先端を切り落としたものが入っています。
じつは、こちらも用途は 「足場」 です。
ただ、もっと小さな群体を対象としています。
代表的なのが、スナツブコケムシの仲間。
円錐形をしているので、底面を観察する際には足場が欠かせません。

今度は「計る」道具。
ミクロメーターです。
顕微鏡で観察する際のスケールとして利用します。

最後は・・・
黒いベルベット風の厚紙です。
顕微鏡写真を撮影する際や、ちょっとした標本写真を撮る際に、シャーレの下に敷きます。

ちなみに、この厚紙はもともとは観察用に買ってきたものではなく、
研究室にお土産として置かれていたお菓子の箱の一部でした。

その名は 「さびえる」

大分のお菓子です。
そんな「ざびえる」(箱)の質感に一目惚れして、
使えそうな部分を何枚か切り出して持ち歩いています。
しわにもならず、とても便利です。

2016年8月23日火曜日

お仕事道具3

昨日に続き、コケムシ観察道具の紹介。
今度は 「切る」 道具です。

まずはハサミ。
先端がゆるやかに湾曲しているものや、細かい解剖用の精密バサミなど、いろいろあります。

つづいて、替刃のメス。
こちらは大型の生物の解剖にも使います。
あと、コケムシが付着したカイメンなどを綺麗に切り分ける際にも便利です。

最後はこれ。
糸鋸の刃を適当な長さに切断したものと、デザインナイフ。
デザインナイフはそれ単体でもメスと同様の使い方ができますが、
替刃を糸鋸に替えると、小型のノコギリにもなります。

コケムシの標本調査では、電顕観察のために古い標本の枝を折る必要があります。
でも、闇雲に折ってしまうと、標本が必要以上に破損してしまう恐れも・・・
そこで活躍するのが、この小型ノコギリです!
なるべく標本の全体像に影響が少ない場所を選び、
顕微鏡下で少しずつ標本をゴリゴリと切っていきます。

2016年8月22日月曜日

お仕事道具2

コケムシ観察用のお仕事道具ですが、
ケースの中身(一部)をご紹介します。

今回は 「つかむ」 道具をご紹介。

まずはピンセット。
先端の形状が異なる精密ピンセットいろいろ。
ほとんどは左のような通常の先端のもので事足りますが、
右のように湾曲した先端をもつものが便利な場合もあります。

こちらはクロスピンセット。
普通のピンセットとは逆で、握ったときだけ開きます。
枝状の標本をいろんな角度から観察するときに使います。

こちらは微生物ピンセット。
硬いもので掴むと壊れてしまうような繊細なものに使います。

最後は、筆。
筆で掴むことなんてできるのかと思われるかもしれませんが、
ピンセットで掴むと壊れてしまうような、群体の小さな破片などを移動させるときに活躍します。
特に、博物館での標本調査の際には必需品です。
あと、古い乾燥標本に沈着したゴミを取り除いたりするときにも使えますよ~。

2016年8月21日日曜日

お仕事道具1

コケムシの群体は、種類によって形も大きさもさまざまです。
サンゴのように大型のものもいれば、糸くずのように微小で繊細なものも…。
そのため、コケムシの観察では、目的や種類に応じていろんな道具を使い分けます。

そんな道具類を整理して持ち運ぶのに便利なのがコレ。
画材屋さんで買ったもので、もともとは筆などを整理するケースです。

左側のポーチは取り外すこともできて・・・
その下にもポケットがあります。

折りたたんで持ち運べるので、便利です。

2016年8月14日日曜日

パネル常設展示

一般公開で作成・展示した 『生き物紹介パネル』 は、
現在も沿岸センターの廊下に常設展示しております。

まずは、図鑑のようにいろんな種を並べて紹介したパネルたち。
甲殻類から・・・

軟体・棘皮動物。おまけにヒモムシも!

さらに・・・
ROVの紹介と、実際に撮影した海底の様子を紹介したパネルもあります。

そして、もちろん・・・ 
コケムシのパネルも!
こちらは一点モノの大きな写真です!

大槌湾で震災をまたいで30年ぶりに発見されたサガミユビヤワコケムシとか、
付着板の上にみられる、幾何学的な美しい群体とか(≧▽≦)

やっぱりコケムシは美しいなぁ~(TーT)しみじみ

2016年8月13日土曜日

おおつち海のいきもの図鑑

今回の一般公開に向けて、大槌の海に生息する動物の簡易的な図鑑を作成しました。
その名も 『おおつち海のいきもの図鑑』 

A3サイズで、三つ折りになります。

最近は各地の臨海実験所でこうしたフィールドガイドが作成されていますが、
じつは、いつか大槌版を作りたいと思っていました。
今回、センターの教員やポスドク、学生の力も借りて、これまでに撮り溜めた写真を総動員し、
ついに完成させることができました!
写真を提供してくれたみなさまに、心から感謝です!!

裏表に生き物の写真がびっしり。

写真と名前が載っている簡易的なものですが、ラミネート加工を施してあるので、
フィールドガイドとして、水辺でも安心して利用することができます。

ちなみに今回のコンセプトの一つは、
「なるべくいろんな生き物について知ってもらう」 です。
細かな種同定に使うものというよりは、
大槌の海にもいろんな生き物が暮らしていることを知ってもらうための導入ツール。

そのため、フィールドガイドとしてはちょっとマニアックな生き物も多数載っています。
たとえば節足動物門を見てみると・・・
なかなかフィールドで見かけることは難しそうなものがいっぱい。。

マイナーな動物門についても紹介しています。
これを見て興味をもってくれる人が100人に1人でもいてくれたら、僕は嬉しい・・・

もちろん、コケムシについても・・・!
なかなか他では見ない充実っぷりです!

あと、こうしたフィールドガイドとしては珍しいのが・・・
海鳥です。

漁でも観光でも、海に行けば必ず海鳥に出会いますよね。

海鳥たちも、魚を食べるなど、海を生活の場としている動物なんですね~。

『おおつち海のいきもの図鑑』 は、今後も改訂などしながら配布を続けていく予定です!
あと、この勢いにのって、このまま冊子体の図鑑も作っちゃおうと計画中・・・( ̄▽ ̄ヾ

2016年8月12日金曜日

実物と映像のコラボ@一般公開

昨日に引き続き、先月の一般公開の様子をご紹介します。

標本展示コーナー 『いきもの博物館』 では、
昨年同様、ROVで撮影した映像の上映も行いました。
量産したパネルで、モニターが埋もれてしまっていますが・・・(^^;

今回は、昨年の秋に撮影した大根(おおね)の映像と、
今年の6月末に撮影した最新映像を上映しました!

さらに今年は、映像に映っている生き物の標本を、画面のすぐ横で展示しています。

実物の標本を手に取りながら、それらが生きている姿を映像で観察することで、
普段なかなか見ることができない深い海の動物たちについて、
その多様性や暮らしぶりの面白さを少しでも実感してもらえたかな~と思います(^^ヾ

2016年8月11日木曜日

一般公開@大槌2016

これまた先月のことですが・・・
7月中旬の「海の日」の週末に、大槌で沿岸センターの一般公開が開催されました。
私は昨年に引き続き 『いきもの博物館』 コーナーを担当し、標本展示を行いました。

じつは今回、展示内容や方法をいろいろとグレードアップさせてみました!

その一つが、展示棚のアレンジ。
昨年は標本を机にただ並べただけでしたが、
今年は標本箱でひな壇を設けて、その上に黒いシートをかぶせてみました。
これだけで、見た目が全然変わりますね!

ホームセンターで買ってきた床用のシートだったのですが、
ちょうど滑り止めにもなってくれて好都合でした。

左側は浅い海の動物たち。
藻場に生息するヨコエビや、付着生物も展示しています。

右側は少し深い海の動物たち。
6月末の調査で得られたテヅルモヅルやウミエラも展示しました。

さらに、今年は一般公開に先立ち、沿岸センターに大型プリンターが導入されたので、
ここぞとばかりに生き物の写真パネルを大量につくってみました!

黒インクを大量に消費してしまいましたが・・・(^ー^A
その価値はあったと思います!

とはいえ、印刷しすぎて標本展示コーナーだけでは並べ切れなかったので・・・
講演会会場にもずらっと展示してみました!

大槌の海には、普段食べている魚や貝のほかにも、
いろんな珍しい動物たちがすんでいます。
その多様性が少しでも伝わればいいなぁ(´ー`*

2016年8月8日月曜日

タイの干潟にて

さて、いよいよタイの報告も今回がラストです。
今まで、食べ物とか足跡とかクラゲとかも紹介してきましたが…
これでも触手冠動物ワークショップの報告ですよ~( ̄▽ ̄;

というわけで、最後はタイの干潟で出会った動物についてご紹介。

なにやら砂を掻き分けて蠢くものが…

2 cmくらいの、ちっちゃいカブトガニでした!
か、かわいい…!(≧ー≦


あっ…また触手冠じゃないですね (--;

すみません。
では、今度こそ・・・

この方が採っていたのが…

これ。
シャミセンガイです!

おぉ~。

こうして無事に、コケムシだけでなく、
ちゃんと触手冠動物を紹介するワークショップにすることができました。
なかなか充実した楽しいワークショップでした!(^ー^)

2016年8月7日日曜日

タイのクラゲ

タイの漁業といえば、クラゲも採っているようです。
水面から見えたクラゲ。
「あれ、4バーツ」 だそうです。

水中でのクラゲの様子。
けっこうでかいです。
これが4バーツです。
触手だらけで、刺されたら痛そうです…

毒抜き中…
やっぱり刺されたら痛いのかな~

そして塩漬けに(ー人ー)

2016年8月6日土曜日

タイの漁業

そういえば、タイでは漁師さんにも数多く出会いました。
漁法もさまざま。
係留中のタイの漁船群

カラフルで独特な雰囲気があります。

こちらはイカ釣り漁船。
櫓みたいになってます。

カゴや網を沈める際の目印に使うボンデンは、日本のものとそっくりです。
竹を使うところは、アジアならではなのでしょうか…。

刺し網にかかっている漁獲物をとっているところ。
エビは傷みやすいので優先的に回収するそうです。
コケムシはかかっていませんでした…

でも、落ちていた網の残骸にはコケムシが付いていました!

2016年8月5日金曜日

タイのセメント

タイではカキの採苗にセメント製の板を使っていました。
セメントといえば、ここ ↓ も思い出の場所です…(=,=
こちら、カニ炒飯の人気店とのこと。

お昼ごはんで立ち寄った際、お店に入ろうとしたら皆さんが賑やかになったので、
「なんだろう?テンション上がるくらい美味しいお店なのかもな~」とか思っていたら・・・


固まっていないセメントに、左足から着底しました。。。


賑やかだったみなさんは、お腹が空いてテンション上がっていたわけではなくて、
必死に僕を止めようとしてくれていたみたいです・・・(T.T

ちなみに上の写真でお店に入るには、
右手前に置いてある小さな板の上を渡る必要があったようです..._(_ _;

おじちゃんたちがすぐに僕の足跡を消してくれましたが、
なんとも申し訳なかったです(>_<

アユタヤ遺跡のレンガにあった誰かの足跡。
仲間だ~(T▽T

2016年8月4日木曜日

タイのカキ2

コケムシワークショップ参加者に王立開発研究センターの方がいらしていて、
3日目に施設を案内してくださいました。
湾に面した場所にある水産研究施設です。
カキやカニの養殖と資源管理の研究を行っています。
今年の秋に国王が来られるとのことで、急ピッチで改修が進められておりました。

カキがたくさんぶら下がっています。
初日の夜に食べたのもこれでしょうか・・・
ここでは採苗も行っていて、セメントでできた小さな板に幼生を着底させるそうです。

コケムシを探したのですが、群体ホヤとカイメンばかりで、なかなか見つからず・・・
と思ったら、ようやく見つけました。(写真の白っぽい部分)
被覆性の立派な群体です!

最初は板張りの所から手を伸ばしてロープを手繰り寄せていたのですが、
だんだん慣れてきて、最後はロープを吊るしているポールの上に立っていました。
じつは昔は板張り部分なんてなかったそうで、
国王が来られるので整備されたようです。
さすがです。

そういえば、別の日に海辺で何かを採集している人たちがいました。
訊いてみたら、この人たちもカキを採っているそうです。
たしかに岩や桟橋にいっぱい付いていました・・・