2016年4月28日木曜日

国際コケムシ学会『IBA2016』報告-その6-

IBA2016についての報告も、いよいよ最後となりました。
今回の話題は、コケムシ学会で振る舞われたワインについてです。

こちらがそのワイン
その名も『 Fenestella 

飲みやすいけど、しっかり飲み応えのある重み(?)もあって…うぅ。。
ワインの評価なんてしたことがないので、語彙が絶望的に乏しいです。_(_ _;
こういうときに、「腐葉土が~」とか言ってみると良いのでしょうか。
まあ、とにかく、とても美味しいワインでした!

それはそうと、このワインの名前を聞いて真っ先に思い浮かぶのは、
あのアルキメデス属も含まれる、化石種で構成されるFenestellidae科の一属...
Fenestella です。

そうなんです…
じつはこのワイン、コケムシの名前が付いたワインなんです!
なんでも、このワインに使われているブドウの産地が、
Fenestella の化石が多産する広大な石灰岩地帯にあるそうで…
ワイナリーのオーナーがコケムシを気に入って、その名前を付けてくれたそうです!
すばらしい…(T▽T

ちなみにネットで検索してみたところ・・・
おぉぉ…っ!けっこうな高級ワインでした!

2016年4月27日水曜日

国際コケムシ学会『IBA2016』報告-その5-



今回の大会で、私は無事に評議員を任期満了しました。
ですが、今度はウェブマスターの補佐兼ソーシャルメディア担当となりました。
新しく設置された役職なので最初は模索状態となりますが、
全世界の最先端のコケムシ研究を、様々なメディアを通して紹介していきたいと思います。

なお、国際コケムシ学会の日本初開催の夢ですが…
やはり実現を切望する声が多かったです。
今から準備すると、次回(3年後)に開催案を提案することになるので、
実際の開催は早くても9年後となります。
その頃は自分がどこで研究をしているのかもわかりませんが…
そんなことを気にしていたら、任期付きの身分が当たり前の今のご時世、
いつまで経っても国際学会なんて開催できませんよね。

というわけで、IBAの日本開催に向けて、少しずつ事前調査や準備を始めたいと思います。
まずは、自分がどこにいても主催できるような開催場所を探してみようと思います。
もし、それまでに自分の“終の棲家”がみつかれば…
そのときは、そこで開催できるはず!

残念ながら参加人数は決して多くはないので、お金で地域を潤すことはできませんが、
エクスカーションやフィールドトリップで多数の新種が発見されるはずなので、
きっと、その地域の名前を世界中にアピールできますよ!

こ、こけむしだけど…

2016年4月24日日曜日

国際コケムシ学会『IBA2016』報告-その4-

まだまだ続きます、コケムシ学会報告シリーズ。

今回のIBAには、北米で淡水コケムシの研究を始めた大学院生が新たに参加していました。
私も初参加は淡水コケムシ研究者として参加したので、
自分以外の淡水コケムシ研究者仲間に出会えたときの彼女の喜びぶりをみて、
当時を思い出して懐かしかったです。
国際学会に参加して嬉しいことの一つは、
こうしてコケムシの専門的な話題で盛り上がれる仲間と出会えることです!

ちなみに彼女は、腕に休芽のタトゥーを入れるくらい気合が入っています。
さすがの僕にもその勇気はありません…(温泉入れなくなっちゃうし。。)
そんな彼女、見事、今大会のベスト学生プレゼンテーションに選ばれていました!
おめでとう!
飲んでいたのと暗かったのとでブレブレの写真ですが・・・

近年、少しずつですが、淡水コケムシ研究も盛り上がりを見せ始めています。
そしてなんと、次期IBA会長に淡水コケムシ研究の世界的権威である方が選ばれました!
来てますよ~淡水コケムシ!!

次回のIBAでは、私も淡水コケムシと海産コケムシの両方の発表ができればと思っています。
ちなみに、淡水と海の口頭発表を同じ大会で同時にした研究者はまだいないようなので、
その実現をひそかな楽しみにしたいと思います。


余談ですが、次期IBA会長の先生は、大学のオーケストラでチェロを演奏されていました。
私もチェロを弾くので、先生のご自宅で一緒にデュオを演奏したことがあります。
そして、今回新たに加わった学生さんは、バスーンを演奏しているとのこと!
淡水コケムシトリオができちゃう…(゜▽゜人

それにしても、何故よりによってバスーンなのでしょう…
(いや、僕もバスーン好きですよ。吹いてみたい木管No.1です…!)
どうやら淡水コケムシ研究者は低音を好むようですね(^^;

2016年4月20日水曜日

国際コケムシ学会『IBA2016』報告-その3-

今回のIBAでは、円口目の分類を全世界レベルで整理し直そうという提案がされました。
円口目は現生の海産コケムシの中でも特に分類が混乱しており、
今後、その分類体系は大幅に変わる可能性があります。
まずは大西洋やオーストラリアなど、
調査が進んでいる海域の種について再検討を行うことになります。
いずれ、私も日本の情報や標本を提供し、参画する予定です。

様々な円口目の群体

それから、これまた世界中のコケムシ分類学者が協力して、
より多くの分類群を対象としたコケムシの分子系統解析を行うプロジェクトの提案もありました。
こちらについては私も最初からメンバーとして参画し、
日本でしか得られないような種類のサンプルの解析準備を進めていきます。

あと、ツノコケムシ科の系統分類から生態や発生に関する
全世界レベルでのプロジェクトの立ち上げもあり、
やはりこちらも立ち上げメンバーとして参加しています。

ツノコケムシの仲間の枝

ちなみに、日本のツノコケムシ科についてはすでにrevisionを書いてacceptもされているので、
近々論文が公表される予定です。
これらのうち数種については骨格の組成分析や同位体比分析なども行いました。
こちらについても現在論文を投稿中です。

2016年4月19日火曜日

国際コケムシ学会『IBA2016』報告-その2-

オーストラリアのメルボルンで開催された国際コケムシ学会(IBA)、
本当は現地から経過報告をしたかったのですが…
一週間という日程は長いようでしたが、濃密であっという間に終わってしまいました。

3年前と同じく、今回もすごく良い刺激をたくさんもらいました。
自分が行っている研究のありったけの成果を報告しつつ、
全世界のコケムシ研究者と有意義な意見交換を行いました。
また、世界中の同年代のコケムシ研究者仲間と、たくさんしゃべって笑い合ってきました。
本当に家族のように大切な仲間です。

明日からは、もう少し具体的な報告をしていきますね~。

今回もポスターは布に印刷して持っていきました。

2016年4月10日日曜日

国際コケムシ学会『IBA2016』報告-その1-

年度末のバタバタで、またまたご無沙汰しておりました・・・

さて、じつは現在、オーストラリアのメルボルンに来ております。
本日からメルボルン博物館において、17th Conference of the International Bryozoology Association が開催されています。
3年に一回の『国際コケムシ学会』です!

今日は初日ということもあって、仲間と3年ぶりの再会を喜び合いました。
日本からの参加者は私だけのようですが、今年は全世界から50人くらいが集まるようです。
とてもアットホームで、それでいて得るものが大きい、素晴らしい学会です。

これまで日本では開催したことがないので、いつか日本でも開催したいと思っています。
日本はコケムシ研究ではかなりアツイ場所なので、今日もさっそく日本開催を切望する声が・・・!

今回はポスター発表と口頭発表、さらに座長と評議員も務めさせていただきます。
内容の濃い一週間になりそうで、とても楽しみです。