2015年12月17日木曜日

マイタケの季節?

松島の付着板調査では、この時期はほとんどフサコケムシの付着がみられません。
代わりに被覆性のコケムシが優占していたりするのですが・・・


“マイタケ”も付着していました。
Membraniporopsis属のコケムシです。

昨年の2月に大槌で得られていたものと同種と思われますが、
大槌とは“旬”が少し違うのでしょうか・・・

2015年12月16日水曜日

小瓶の中の岩手の海

もうかれこれ3ヶ月も前ですが・・・
9月に動物学会の会場で、生き物をデザインにした素晴らしいステンドグラスと出会いました。
ガラスに生き物の絵を描いたりもされているようです。

そういえば、ガラス細工のような虫体とか、幾何学的な個虫の並びとか・・・
コケムシもきっと素敵なデザインになりますよ~。

そんなお話をしながらグッズを眺めていたところ
「岩手の海」と題したガラスプレートと小瓶を発見。
かわいい絵柄が気に入って、大槌の研究室に飾ろうと思い購入しました。

小瓶の方は「岩手丸」がトロールを曳いています。
網には今のところ何も入っていません。

そこで、大槌の海底の砂らしきモノを小瓶に入れてみました。

拡大してみると・・・
ええ、そうです。 砂のように見えたものは、すべてコケムシです!
スナツブコケムシもたくさんいます。

このままいけば、スナツブコケムシが網に入るはず!
というわけで、小瓶を振ってみたところ・・・
あー、フトトクサコケムシが入っちゃいました。。

研究が煮詰まったときに小瓶を振って気分転換するのも、なかなか楽しいですよ・・・。
(今度こそスナツブコケムシを・・・シャカシャカ)

2015年11月25日水曜日

けっこう動きます

先日の調査で得られたシャミセンガイ、
現在も研究室で飼育中です。
泥の代わりにガラスビーズを入れてあげたら、
ちゃんと潜ってくれました。

水流を当ててやると、びっくりして引っ込みます。

・・・写真ではわかりにくいですが、けっこう動くんです。

2015年11月23日月曜日

JAMBIO合同調査@下田

11月第二週は、筑波大学下田臨海実験センターにおじゃまして、
JAMBIO合同調査に参加してきました。

今回の目的は二つ。
スナツブコケムシ科のCrucescharellina属の生きた群体を得ることと、
大槌で得られている起立性コケムシの比較用サンプルを得ること・・・。

2年前に付着生物学会のコケムシ勉強会でお世話になって以来だったのですが、
なんと、調査船が新しくなっていました!
大きなアンカーや調査機材の取り回しも容易にでき、
デッキや船内も広々としていて作業もしやすく、とても良い船でした。
今回は風と波の状況が厳しい中、伊豆半島の西側まで船を走らせてくれました。
おかげさまで、スナツブコケムシの仲間もたくさん採れました。
なんと、目的としていた生きたCrucescharellina属も1群体得ることができました!

スナツブコケムシの仲間

あと、シャミセンガイなどの腕足動物も得られました。
こちらも大槌で得られているものとの比較用サンプルとして、観察を進めていこうと思います。

調査でお世話になった方々に、心の底から感謝です!

2015年11月22日日曜日

ほーき集め

奄美の調査では、ホウキムシも見つけました。

ハナギンチャクの棲管に共生しているホウキムシたち

立派です!

ハナギンチャクの棲管だけを採集してきて、その中からホウキムシを1匹1匹取り出します。
ちなみに、このハナギンチャクの棲管は、特殊な刺胞でつくられているそうです!

だいぶ出てきました。

それにしても、世界中から報告のあるホウキムシ(Phoronis australis)ですが、
果たして同種なのでしょうか・・・
将来サンプルが集まったら、詳しく調べてみると面白いかもしれません。

2015年11月21日土曜日

奄美はコケムシの楽園・・・かも?

今月の前半は有給をとったりして、調査をハシゴしておりました。
第一週は奄美大島で実施された「うみさわ会」に参加。
これまで奄美大島からはコケムシの正式な報告がなかったのですが、
初記録云々とか以上に、とても面白いコケムシがたくさん採れました。

岩肌を覆うオレンジ色の群体

白い群体も

起立性の群体も多様です

海藻じゃないですよ~

最終日は、鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室にて、
調査参加者全員で各々講演を行いました。
私は『奄美はコケムシの楽園』というタイトルで発表しましたが、
なんとか奄美の多様なコケムシたちを紹介することができました。
(じつは、コケムシが採れるかもわからない調査前の段階で付けたタイトルでした・・・)
実際、今回潜った場所はどこもコケムシがいっぱいいました。
岩肌を見てもあちこちにコケムシが付いてるし・・・

砂泥底にも立派なコケムシが立っているし・・・

水中で空き瓶を拾っても立派なコケムシ付いてるし。

興味深いコケムシがたくさんいたので、私にとっては本当に楽園でした。

2015年11月11日水曜日

和室は素晴らしい

先日はお休みをいただいて、奄美大島での調査に参加してきました。
日中は潜ってひたすら採集をしているので、観察は宿に戻ってから夜間に行います。


こういうとき、民宿の和室はスペースが広くて、とっても助かります。

2015年11月10日火曜日

一般公開2015

先月末、柏キャンパスの一般公開が行われました。
毎年恒例となりつつある(?)コケムシ標本展示を今年も実施しました。

あと、2階のエレベーターホール前ではROVで撮影した映像の上映も行いました。

それにしても、今年はものすごい人の数でした。
お天気効果か、はたまたノーベル賞効果か・・・
お昼御飯を食べる間もなく朝から夕方までずーっと喋り続けました。
二日間で何回「コケムシ」という単語を発したのか、数えればよかった・・・

今回の一般公開では、
「あっ。サンゴがあるよ~」
「ムシなんですね…」
「コケムシは何か悪さをするのですか?」
「この研究は何の役に立つのですか?」
こんな言葉をよく聞きました。
これらすべての質問(&つぶやき)に、実例を交える等して語りました。


う~ん・・・それにしても、ノーベル賞効果なら、最後の質問は出てこない気が・・・
なので、人が多かったのはやっぱり天気が良かったからですかね~。

2015年11月1日日曜日

紅葉狩り

山々は紅葉真っ盛りの季節になりました。
沖縄の海底は、今年もいよいよ紅葉狩りの季節です。
ちょっと狩りすぎたかな…(←狩りの意味が違う)

2015年10月9日金曜日

海底で舞う桜色の扇

砂泥底にはスナツブコケムシという数ミリ程度の小さなコケムシが棲息しています。
海底でどんな生活をしているのか100年以上も謎だった、不思議なコケムシです。
2011年に私が飼育実験を行った結果、
彼らは空個虫をつかって海底から立ち上がって生活していることを突き止めました。

そんなスナツブコケムシの仲間にFlabellopora属という扇形をしたコケムシがいます。
彼らも飼育環境下では立ち上がることが確認されていましたが、
野外ではこれまでそんな姿を見た人はいませんでした。
・・・というか、野外でFlabelloporaを認識できる人がいなかったのだと思われます。

ところが、今回の御箱崎沖のROV調査で、
Flabelloporaが実際に海底で起立している姿を初めて撮影することに成功!!
・・・してました。。

撮影した映像をあとで確認して気づきました。。
リアルタイムで気づかなかったのが悔やまれます・・・

その決定的瞬間が、コチラです!!

・・・えっ? どれがコケムシだかわからない??
では、拡大してみましょう!
コレです!!

ん・・・? やっぱりわからない!?
中央の桜色をした扇形のものがコケムシですよ~。

えっと・・・いまいちイメージができないですか?
では、これでどうでしょう?
同じ場所で採集した群体がこちら!

左の2つは死んだ殻ですが、右の桜色のものは生きている群体です。
どうですか?

映像では、この桜色の扇が波に合わせてゆらゆらと揺れておりました。
けっこう流れが速い場所だったのですが、
自由度のある空個虫で立ち上がる姿勢は、やはり流れに強い生活様式のようです。

2015年10月8日木曜日

こっちもサンゴ

先日のROV調査で最初に潜った大根(おおね)は、
ムツサンゴや八放サンゴで賑わっていました。

一方、2地点目に潜った御箱崎沖はというと・・・


目的の斜面を下りきってしまったようで、辺り一面の泥場でした。


ウミエラの仲間(刺胞動物)とジイガゼキンコの仲間(ナマコ)があちこちにいました。
やはり底質が異なると、生物相も全く違いますね。


あれ? ホオズキチョウチンじゃないですか。
岩肌だけでなく、こんな泥場でも生活できるんですね~!

それにしてもここは流れが速くて、ROVの操縦もかなり難しい状況に・・・
仕方なくスラープガンのスイッチを入れっぱなしにして、
海底の泥を片っ端から採集してきました。

そんな中から、見つけました。
タマサンゴ!
映像では確認できなかったのですが、
やっぱりこういう泥場にいるんですね~。

2015年10月6日火曜日

おおね

本日、なんとか午前中だけROV調査を実施することができました。
大槌沖の大根(おおね)と御箱崎沖の2地点で潜らせました。

大根では、ライトを点灯した瞬間とても鮮やかな世界が目の前に広がりました。
まさに、海綿動物と刺胞動物のパラダイス!

…あれ?コケムシは?

岩肌にカイメン、ムツサンゴ、ヤギ、ウミトサカ、ヒドロ虫がびっしり!
もう、大興奮です!

ホオズキチョウチン(腕足動物)も見つけました!
岩にぶつかったら振動に驚いて殻を閉じてしまいました。
おおっ!

えっと~ところで、コケムシは… コケムシは……

いたっ!
ムツサンゴに囲まれてひっそりと…。
(写真中央付近の枝状の群体)

そのほかにも
エダコケムシの仲間やアミコケムシの仲間が、これまたひっそりと。。
(写真中央、紫色や橙色のカイメンに少しかぶる感じで…)

海底にはこんなに美しい世界が広がっていたんですね!

2015年10月5日月曜日

カスタマイズ


明日は大槌湾口部においてROV調査を実施する予定です。
1年以上前のROV設計段階から計画していた調査が、
ついに実現するのです・・・!(TーT)

そんなわけで、ROVの装備を少々変更しました。

まずは、スクレーパーを幅の広いものに変更。
スラープガンの先端の形状も各種とりそろえております。

キャニスターのメッシュを目合いの細かいものに変更。
ちなみに、手前の白い円盤が各種目合いの交換用メッシュです。
(餃子の皮ではありません)

完成。

さて、あとは明日の天候に恵まれることを祈るのみ。
どうか台風の影響があまり出てきませんように・・・!(>人<)風と波よ、鎮まりたまへ・・・

2015年9月28日月曜日

新青丸一般公開@大槌

昨日は快晴の中、大槌を母港とする新青丸の一般公開が開催されました。
虎舞や餅まき、ホタテの浜焼きなど、恒例のイベント盛り沢山でした。

久々に母港に着岸した新青丸。

沿岸センターも特設ブースを開設。
晴天に恵まれてよかったよかった。

沿岸センターのブースではパネル展示とあわせて標本展示も実施。
今回は大槌で採集された生物標本だけでなく、
新青丸の初めてのビームトロール調査で得られた深海生物標本も展示しました。

陸中弁天虎舞。
かっこいい!

ちょっとネコっぽくてかわいい虎さん。

2015年9月26日土曜日

しうり

先月から延期になっていた付着板調査を一ヵ月遅れで実施しました。


あれ?ボンデンが無い・・・
台風で流されちゃったのかな?

と思ったら・・・


海中に沈んでいました!
しうり貝(イガイ)が大量に付着して、重さで沈んでいたようです・・・(゜口゜;

おそるべし・・・付着生物。