2015年10月9日金曜日

海底で舞う桜色の扇

砂泥底にはスナツブコケムシという数ミリ程度の小さなコケムシが棲息しています。
海底でどんな生活をしているのか100年以上も謎だった、不思議なコケムシです。
2011年に私が飼育実験を行った結果、
彼らは空個虫をつかって海底から立ち上がって生活していることを突き止めました。

そんなスナツブコケムシの仲間にFlabellopora属という扇形をしたコケムシがいます。
彼らも飼育環境下では立ち上がることが確認されていましたが、
野外ではこれまでそんな姿を見た人はいませんでした。
・・・というか、野外でFlabelloporaを認識できる人がいなかったのだと思われます。

ところが、今回の御箱崎沖のROV調査で、
Flabelloporaが実際に海底で起立している姿を初めて撮影することに成功!!
・・・してました。。

撮影した映像をあとで確認して気づきました。。
リアルタイムで気づかなかったのが悔やまれます・・・

その決定的瞬間が、コチラです!!

・・・えっ? どれがコケムシだかわからない??
では、拡大してみましょう!
コレです!!

ん・・・? やっぱりわからない!?
中央の桜色をした扇形のものがコケムシですよ~。

えっと・・・いまいちイメージができないですか?
では、これでどうでしょう?
同じ場所で採集した群体がこちら!

左の2つは死んだ殻ですが、右の桜色のものは生きている群体です。
どうですか?

映像では、この桜色の扇が波に合わせてゆらゆらと揺れておりました。
けっこう流れが速い場所だったのですが、
自由度のある空個虫で立ち上がる姿勢は、やはり流れに強い生活様式のようです。