2019年8月23日金曜日

ちごけむし

稚児毛虫(ちご・けむし)・・・ではありません。
血苔虫(ち・ごけむし)です。
静脈血のような暗赤色の群体からこの名が付いています。
今日はそんなチゴケムシの稚児(幼生さん)のお話。

チゴケムシの群体

先日の海洋実習で,ホタテガイにこのコケムシが多数付着していました。
そんな群体を割ってみると,個虫の縦断面が簡単に観察できます。

触手冠が入っている個虫のほかに,丸いものが詰まっている個虫もあります。
じつはこれ,発生途中の幼生なんです。

出てくる幼生は鮮血のような鮮やかな赤色

よく見ると,幼生入りの個虫は触手冠を含むポリプ体が退化しているのがわかります。
チゴケムシは卵室をつくらない代わりに,こうして虫室の中で幼生を保育します。

これらの群体を水槽に入れておいたところ・・・
多数の幼生が泳ぎ出ていました!
赤い点々はすべてチゴケムシの幼生です。

この後,水槽内のあらゆるところに付着して,水槽が赤い点で埋め尽くされました・・・

2019年8月3日土曜日

熊野灘でドレッジまつり

今年度2回目ですが,勢水丸に乗船してきました。

今回は学生の体験実習としての乗船でしたが,
その内容はプランクトンと底生生物をがっつり採りまくる濃厚なもの。
特にドレッジは毎日2地点あり,
大量の泥や礫を洗い出してはソーティングや観察に没頭する研究航海を,
学生たちも思う存分「体験」できたと思います(^^)

海況が心配でしたが,幸い台風の合間で天候にも恵まれ,
計画通りすべての調査を実施できました。
最後は片付けの時間確保のため,ドレッジの地点を1地点減らしましたが,
それでも十分すぎる成果を得ることができました!
学生が研究しているウニやウミクワガタも多数得られて良かったです。

もともとコケムシがいそうな地形を調査地点に選んだわけですが,
得られたほぼ全ての礫にコケムシが付いており選別が大変でした・・・( ̄▽ ̄;

最後は浅めの砂泥底で生きたスナツブコケムシも大量に得ることができました。
この海域の情報が抜けていたので,こちらも大きな成果です。

あと,深海から予期せずレアな腕足動物や穿孔性のコケムシも複数種得られて大満足!
この貝殻の写真に2種類の穿孔性コケムシの群体が写っているのですが・・・

船員の皆様や参加した学生に感謝です!

2019年8月2日金曜日

池にいます

先日、久しぶりに淡水コケムシを採集してきました。
3ヶ所めぐって、2綱2目5科6属6種の群体が得られました。
休芽を含めるとさらに数種はいそうです。

ヤワハネコケムシ
透明でぷにぷにした外包が特徴。
大きくて観察しやすく、透き通っていて美しい種です。

ヒメハネコケムシ
2011年にRumarcaellaに所属を変更した種です。
本種は日本以外ではほとんど報告がありません。
せっかくなので再記載しますかね~
あっ・・・休芽を放出しました。

オオマリコケムシ
言わずと知れた、外来種。
このあと研究室で大量に幼生を出しました。

カンテンコケムシ
レッドデータブックに載ることもある稀少種。
大きな個虫は、たぶんコケムシの中でも最大級。

やっぱり淡水もいいですね~(^-^)

2019年7月14日日曜日

河川から深海まで・・・

共著の論文が2報出ました。

Grischenko A.V., Hirose M., Schwaha T. and Chernyshev A.V. (2019) 
First record of an abyssal and hadal bryozoan fauna from the Kuril-Kamchatka Trench. 
Progress in Oceanography 176 (2019), 102130.
千島海溝の水深5134~7245 mから得られたコケムシ4種に関する記載論文です。
私はこのうち特に深い2地点から得られた2種の標本を観察しました.

Ko E-J., Gim J-S., Hong S., Jo H., Kim J.Y., Hirose M., Won D.H., Kim H-W. and Joo G-J. (2019) 
Distribution and growth of non-native bryozoan Pectinatella magnifica (Leidy, 1851) in four large rivers in South Korea. 
Aquatic Invasions (2019), 14(2): 384-396.
こちらは韓国の河川で確認されたオオマリコケムシの分布に関する論文です。
以前,淡水コケムシに関する国際シンポジウムに招待されたときのものです。

2019年7月6日土曜日

学会のハシゴ

6月は怒濤の学会続きでした・・・。

東北マリン全体会議でのポスター発表(コケムシの成長履歴)
日本動物分類学会でのポスター発表(ウミエラの分類)
国際コケムシ学会@チェコでの口頭およびポスター発表(成長履歴と摂餌生態)

国際学会でのポスター発表の様子

コケムシの発表ばかりかと思いきや、さり気なく刺胞動物の発表も行いました。
大槌で得られたウミエラの分類に関する研究で、
昨年度の4年生が卒業研究で行った研究成果です。
ついに刺胞動物デビューです。。

大槌で得られたウミエラの一種

ただ、自分がコケムシの発表をしなかったため、
今年の動物分類学会ではコケムシの発表がなくなってしまいました。。。
コケムシ研究者人口を増やさないとなぁ・・・(´。`ヾ

今回の国際コケムシ学会も、日本からの参加者は僕だけでした。
3年に一度の国際学会では、いつも沢山の刺激と元気をもらえます。
とにかく楽しかったです。
そんな中、周囲からの要望に応えて、
日本での国際コケムシ学会の開催を提案することになりました。
・・・
やっぱりコケムシ研究者を増やさなきゃ・・・!((゜゜;))

2019年6月17日月曜日

リベレツに集まりました

現在,国際コケムシ学会のためチェコのリベレツに来ています。
3年に一度,全世界のコケムシ研究者が集う場所です。
明日から5日間,コケムシに関する講演が続きます。
私もコケムシの成長履歴に関する口頭発表と,
摂餌生態に関するポスター発表を行う予定です。
Ice Break Party では懐かしい方々と3年ぶりの再会を喜び合いました。
で,6年後の大会を日本で是非との声が多数・・・
うん。いつか日本で開催できたら良いなぁ・・・(^^;)

こっちは夜の9時を過ぎてもまだ外が明るいです。

2019年5月17日金曜日

みんなでコケムシ拾いました

12月の乗船実習では、昨年度から広島大学の豊潮丸にもお世話になっています。


この実習の主担当をさせてもらうことになったのですが、
初年度ということで、まずは実習内容やルートの計画から始まりました。
おおまかな部分は既存の実習を参考にしつつ、
プランクトン観察では昼間の調査だけでなく、集魚灯を使った夜間採集も実施しました。

見慣れない動物プランクトンに魅了されて夜が更けていきました

また、底生生物の観察に力を入れたオリジナルメニューもほしかったので・・・
ドレッジ・そりネット・SM採泥器で採集した基質を対象に、
洗い出し&ソーティングをガッツリ行いました。


最終日は、実際の調査航海のときのようなハードな一日となりましたが、
学生も普段なかなか目にしない動物たちに、かなり楽しんでくれたようでした。


夜遅くまでみんなでスナツブコケムシを拾ってくれて、感無量でした…(TーT)