2019年11月20日水曜日

コケムシの存在が当たり前の空間

先日の琵琶湖調査の際に,久々に琵琶湖博物館に行きました。
あらためて展示内容の充実ぶりに驚かされました。

それにしても・・・以前からこんなにマニアック(いい意味で)でしたっけ?

個人的には,解説パネルで当たり前のようにコケムシが描かれていたり

コケムシの映像が大画面で流れていたり

大好きなRipistes parasita と自分が名づけたHislopia prolixa が並んで壁画になってたり

夢のようでした。

いつか日本中でコケムシをこれくらいメジャーにしたいなぁ・・・(´ー`

2019年11月19日火曜日

日本縦断~その3~

琵琶湖から相模原に帰り,学生の入れ替えをした後,
引き続き公用車で岩手県の大槌湾に向かいました。

この週はずっと海が荒れており,果たして調査ができるか不安でしたが,
なんとか翌朝には船を出すことができました。

お昼には越喜来湾でも船を出して,なんとか全調査を完了することができました。
午後になると風が強くなってきて波が・・・(゜゜;

実験用に採集したコケムシやワレカラも無事に研究室に持ち帰ることができました。
これで実験も進められます。
よかったよかった・・・(´ー`

2019年11月18日月曜日

日本縦断~その2~

豊潮丸を下船し,竹原ステーションで夕方までソーティングした後,
そのまま公用車で滋賀県に向かいました。

翌朝,琵琶湖でコケムシの採集を試みましたが・・・

とにかく水が冷たい!(><

ちょっと時期が遅すぎましたね・・・
残念ながら群体はみつかりませんでした。_(_ _;

ということは・・・淡水域はいよいよヒナコケムシのシーズンです!

2019年11月17日日曜日

日本縦断~その1~

先日,調査のため公用車で広島まで行ってきました。

広島大学の竹原ステーションでのプランクトン観察・干潟の生物観察の後,
豊潮丸に乗船して瀬戸内海でドレッジを曳いてきました。

スズメガイダマシ科の標本が多数得られたので,
これらの標本を使って記載と併せて本グループの系統分類も進めていく予定です。

2019年11月5日火曜日

とにかく知ってもらいたい・・・

昨年に引き続き、今年も大学祭で研究室の展示を出しました。
少しでも多くの人に知ってもらいたいんです。
自分たちが研究しているマニアックな動物たちの面白さを・・・!(≧ー≦)

普段はものづくりなんてほとんどしていない素人集団ですが、
研究対象分類群への愛に溢れた物販も行いました。
とにかく好きなんです・・・(^^;

今年は研究室の学生がそれぞれやっているテーマに沿った展示を準備してもらいました。
僕はそこに標本やパネルを少し足しただけです(´ー`ヾ
調査研究で忙しい合間に準備するのは相当大変でしたが、
見に来てくださった方々にもなかなか好評だったようでよかったです。

学生も、自分たちで来場者に何度も説明したことで、
頭の中で情報が少しずつ整理されていったのではないかと・・・(期待)

2019年11月2日土曜日

ホタテにくっつく動物の生きた姿、お見せします

第39回大船渡市産業まつりの三陸臨海教育研究センターの出展ブースにおいて、
標本と水槽の展示による研究紹介を行いました。

三陸の養殖ホタテに付着した動物の生きた姿とともに、
それらの多様性や生態について、研究成果を交えて紹介しました。
ホヤ,イソギンチャク、フジツボ、コケムシ、などなど・・・。

あと、いつもの標本展示と・・・

三陸で得られたさまざまな無脊椎動物も水槽で展示しました。

小さな子供たちにとっては、大きなニッポンヒトデはちょっと怖かったようです・・・

2019年10月14日月曜日

コケムシと分類学についての模擬講義

先日,大学の見学に来ていた高校生を対象に模擬講義を行いました。
『コケムシの知られざる魅力に迫る』と題して,
コケムシ研究を例に,“くっつく動物”の生物学について講義を行いました。

キャンパス内だったことから標本も数多く持参することができ,
講義の後で実際にコケムシを手にとって観察してもらうこともできました(^^)
分類学に関する質問もたくさんあって,嬉しかったです。

2019年10月5日土曜日

9月の調査も無事終了~

越喜来湾での初めてのドレッジとROVを使った調査でしたが,
無事に終えることができました。
天候と海況にも恵まれて気持ちよかったです。
ただ,完全に油断しており日焼けが・・・あぁ。。

2019年10月3日木曜日

岸壁からのROV調査

 今回,ドレッジ調査とは別に,
越喜来湾の3箇所の港で岸壁からROVを使った調査も実施しました。

堤防にコントローラーやモニターを設置してオペレーションブースを展開。

ROVで岸壁周辺の海底の様子を観察してきました。

2019年10月1日火曜日

操船しながらドレッジ曳いてきました

今回,ついに大学の小型船でドレッジ調査を実施することができました。
この日のために,特別採捕の許可も取り,準備を進めてきました。
これまで調査船や漁船などいろんな船でドレッジを曳いてきましたが,
自分で操船しながらドレッジを曳網するのは初めてです!
緊張します・・・(゜ー゜;

ちなみに,先日紹介した黒い形象物は,ひろげるとこんな形になります。
網などを使う漁ろう中に掲げるものです。
漁船などが頻繁に行き交う場所なので,こうして周囲に注意喚起します。
今回,船が小さくて掲げる場所がなかったので,支柱に釣竿を使用しました。

いよいよドレッジを投入して曳き始めます!
離底してしまわないように船速を調節するのが難しい・・・(・・;

いよいよ回収してみます。
水面まではラインホーラーを使います。
ドレッジが見えました!

最後は人力で船に引き上げます・・・(><)重い!
見事,パンパンに底質が入っていました。
大成功~!ヽ(´▽`)ノヤッター

じつは何度も失敗を繰り返して空のドレッジを揚収したんですけどね・・・
最後にしっかり採れてよかった!(TーT)

洗い出し作業は陸上で実施。

残った砂もふるいにかけて,動物を余さず採集しました。
棘皮動物を中心に,興味深い生物が多数得られました。

2019年9月29日日曜日

形象物と旗

今月の調査ではついにヴェリジャーⅡ(大学の船)でこれを掲げます。

2019年8月30日金曜日

穿つ。

先日の国際学会で話を聞いて
「ひょっとして日本にもいるんじゃないか・・・?」ということで
さっそく実習の磯採集で探してみました。
小さな孔がたくさん空いた巻貝を拾ってみたら・・・
いました。

7月の勢水丸で採集したものに続いて,
この夏は穿つコケムシがアツイ。

2019年8月23日金曜日

ちごけむし

稚児毛虫(ちご・けむし)・・・ではありません。
血苔虫(ち・ごけむし)です。
静脈血のような暗赤色の群体からこの名が付いています。
今日はそんなチゴケムシの稚児(幼生さん)のお話。

チゴケムシの群体

先日の海洋実習で,ホタテガイにこのコケムシが多数付着していました。
そんな群体を割ってみると,個虫の縦断面が簡単に観察できます。

触手冠が入っている個虫のほかに,丸いものが詰まっている個虫もあります。
じつはこれ,発生途中の幼生なんです。

出てくる幼生は鮮血のような鮮やかな赤色

よく見ると,幼生入りの個虫は触手冠を含むポリプ体が退化しているのがわかります。
チゴケムシは卵室をつくらない代わりに,こうして虫室の中で幼生を保育します。

これらの群体を水槽に入れておいたところ・・・
多数の幼生が泳ぎ出ていました!
赤い点々はすべてチゴケムシの幼生です。

この後,水槽内のあらゆるところに付着して,水槽が赤い点で埋め尽くされました・・・

2019年8月3日土曜日

熊野灘でドレッジまつり

今年度2回目ですが,勢水丸に乗船してきました。

今回は学生の体験実習としての乗船でしたが,
その内容はプランクトンと底生生物をがっつり採りまくる濃厚なもの。
特にドレッジは毎日2地点あり,
大量の泥や礫を洗い出してはソーティングや観察に没頭する研究航海を,
学生たちも思う存分「体験」できたと思います(^^)

海況が心配でしたが,幸い台風の合間で天候にも恵まれ,
計画通りすべての調査を実施できました。
最後は片付けの時間確保のため,ドレッジの地点を1地点減らしましたが,
それでも十分すぎる成果を得ることができました!
学生が研究しているウニやウミクワガタも多数得られて良かったです。

もともとコケムシがいそうな地形を調査地点に選んだわけですが,
得られたほぼ全ての礫にコケムシが付いており選別が大変でした・・・( ̄▽ ̄;

最後は浅めの砂泥底で生きたスナツブコケムシも大量に得ることができました。
この海域の情報が抜けていたので,こちらも大きな成果です。

あと,深海から予期せずレアな腕足動物や穿孔性のコケムシも複数種得られて大満足!
この貝殻の写真に2種類の穿孔性コケムシの群体が写っているのですが・・・

船員の皆様や参加した学生に感謝です!

2019年8月2日金曜日

池にいます

先日、久しぶりに淡水コケムシを採集してきました。
3ヶ所めぐって、2綱2目5科6属6種の群体が得られました。
休芽を含めるとさらに数種はいそうです。

ヤワハネコケムシ
透明でぷにぷにした外包が特徴。
大きくて観察しやすく、透き通っていて美しい種です。

ヒメハネコケムシ
2011年にRumarcaellaに所属を変更した種です。
本種は日本以外ではほとんど報告がありません。
せっかくなので再記載しますかね~
あっ・・・休芽を放出しました。

オオマリコケムシ
言わずと知れた、外来種。
このあと研究室で大量に幼生を出しました。

カンテンコケムシ
レッドデータブックに載ることもある稀少種。
大きな個虫は、たぶんコケムシの中でも最大級。

やっぱり淡水もいいですね~(^-^)

2019年7月14日日曜日

河川から深海まで・・・

共著の論文が2報出ました。

Grischenko A.V., Hirose M., Schwaha T. and Chernyshev A.V. (2019) 
First record of an abyssal and hadal bryozoan fauna from the Kuril-Kamchatka Trench. 
Progress in Oceanography 176 (2019), 102130.
千島海溝の水深5134~7245 mから得られたコケムシ4種に関する記載論文です。
私はこのうち特に深い2地点から得られた2種の標本を観察しました.

Ko E-J., Gim J-S., Hong S., Jo H., Kim J.Y., Hirose M., Won D.H., Kim H-W. and Joo G-J. (2019) 
Distribution and growth of non-native bryozoan Pectinatella magnifica (Leidy, 1851) in four large rivers in South Korea. 
Aquatic Invasions (2019), 14(2): 384-396.
こちらは韓国の河川で確認されたオオマリコケムシの分布に関する論文です。
以前,淡水コケムシに関する国際シンポジウムに招待されたときのものです。

2019年7月6日土曜日

学会のハシゴ

6月は怒濤の学会続きでした・・・。

東北マリン全体会議でのポスター発表(コケムシの成長履歴)
日本動物分類学会でのポスター発表(ウミエラの分類)
国際コケムシ学会@チェコでの口頭およびポスター発表(成長履歴と摂餌生態)

国際学会でのポスター発表の様子

コケムシの発表ばかりかと思いきや、さり気なく刺胞動物の発表も行いました。
大槌で得られたウミエラの分類に関する研究で、
昨年度の4年生が卒業研究で行った研究成果です。
ついに刺胞動物デビューです。。

大槌で得られたウミエラの一種

ただ、自分がコケムシの発表をしなかったため、
今年の動物分類学会ではコケムシの発表がなくなってしまいました。。。
コケムシ研究者人口を増やさないとなぁ・・・(´。`ヾ

今回の国際コケムシ学会も、日本からの参加者は僕だけでした。
3年に一度の国際学会では、いつも沢山の刺激と元気をもらえます。
とにかく楽しかったです。
そんな中、周囲からの要望に応えて、
日本での国際コケムシ学会の開催を提案することになりました。
・・・
やっぱりコケムシ研究者を増やさなきゃ・・・!((゜゜;))

2019年6月17日月曜日

リベレツに集まりました

現在,国際コケムシ学会のためチェコのリベレツに来ています。
3年に一度,全世界のコケムシ研究者が集う場所です。
明日から5日間,コケムシに関する講演が続きます。
私もコケムシの成長履歴に関する口頭発表と,
摂餌生態に関するポスター発表を行う予定です。
Ice Break Party では懐かしい方々と3年ぶりの再会を喜び合いました。
で,6年後の大会を日本で是非との声が多数・・・
うん。いつか日本で開催できたら良いなぁ・・・(^^;)

こっちは夜の9時を過ぎてもまだ外が明るいです。