2014年12月30日火曜日

和食でも洋食でも・・・

今年も残すところあと2日(正確には1.5日・・・)。
気がつけば忘年会シーズンも過ぎてしまったようですが、
とりあえず今年も忘年会のご報告を。

毎度のことですが、私は今年も貝殻を眺めて楽しませてもらいました。
特に、大槌の忘年会にて・・・

もちろん三陸の海の幸が並びます。
おっ。ホタテのお刺身が貝殻にのっています!

ってことは・・・
この殻の表側にいるはず!

えいっ!
むむ・・・意外ときれい。
しかし、あの子は必ずいる!

じー・・・
むむ!

じぃーー・・・
むむむ!!
発見です!(´▽`)

お料理を食べ進めていくと、新たなお皿がやってきました。
なんと、今度は洋風です!

そして・・・
アスパラの陰に、貝がいます。
貝殻付きで、貝がいます。
ということは・・・きっとあの子がいます!

えいやっ。
お?

じー・・・
おおお!?

じーーっっ・・・!
おおおお!!
けっこう立派な群体が付いていました。
おそらく Calloporidae 科ですね~。

ちなみに、最初のホタテは大槌産のものだそうで、
記念に殻をもらって持ち帰ることにしました。

研究室で観察したところ、付着板でもよく見かけるMicroporella 属(ウスコケムシの仲間)でした~。

2014年12月27日土曜日

仕事納め@大槌

クリスマスも過ぎて、巷ではすっかりお正月を迎える準備が整っています。
昨日が今年の仕事納めだった人も多いようです。

今年の大槌での仕事納めは、標本庫の整理、付着板の観察、
そして、新しい付着板を吊すロープの準備です。

新品の白さが眩しい・・・!

それぞれ設置地点の水深に合わせた長さに切り、端を編み込んでアイ加工を施しました。
これを船長に見せて相談したところ、金具をはめて輪っかを絞ってくれました。
なんと美しい仕上がり・・・!

ここにシャックルを通し、スイベルをかませることで、ロープに捻れが生じないようにしています。

長さは干満による潮位の変化も考慮して、多少短めに調整してあります。
浮き玉が水面に出てしまうと、ロープが緩んで捻れなどの原因にもなります。

メジャーで長さを測りながら付着板を付ける位置に目印を付けていきます。

メインの浮き玉は常に水没していることになるので、耐圧のものを使用しています。
調査の時の目印になるボンデンは、この浮き玉とは別に付けるというわけです。

2014年12月25日木曜日

Merry Christmas!!

どうでしょう・・・?
クリスマスツリーっぽいですか?

これ、じつはコモチカエデコケムシの折れてしまった枝なのです。
このように、たとえアクシデントで枝が折れてしまっても、
その枝が生きていれば、しばらくすると再生して再び立ち上がることができます。

これも、群体性のコケムシならではの再生力です。
群体性って便利ですね~。

2014年12月12日金曜日

切り紙

かれこれ半年以上前のことですが・・・
思い付きでこんなことしてみました。


折り紙を切って製作活動中。

裏側を見ると・・・


こんなラフな下絵ですみません。


ひたすら穴を切り出していきます。
今思えば、キリとかパンチを使えばよかったんじゃないかと・・・


虫室口、全開。
なんだかんだで、それっぽくなってきました。


光に透かすとこんな感じ。
穴の形が揃っていないのも、それはそれで良いかも。


切り出し完了。
このかたち、もうおわかりですね?

では・・・

ほいっ。

じつは3枚重ねて切り出していました。


何気に色にもこだわっています。
濃いのと薄いのがあるのも、忠実に再現した結果です。

あとは、これに空個虫を生やせば・・・


群生したコモチカエデコケムシたちです!


じつはこれ、研究室を離れる人へのメッセージカードとして作ったのでした。
黒バックのアルバムに一群体ずつ納めて完成。


あっ、メッセージはですね・・・
最初は空個虫に縦書きしたのですが、なんだか御札みたいで不気味だったので、
結局メッセージカードを別に書いてコケムシの横に添付しました(^^;

2014年12月11日木曜日

虫食い

海中で1年間付着板を吊していたシャックル。


再利用できるかな~と淡い期待を抱いて確認したところ・・・


むむ・・・!
腐食しています。

まるで虫食いのような穴が。。
もちろん、シャックルをかじる生物がいたわけではありません。

このシャックルはステンレス製です。
ステンレスは表面がクロムの酸化による不動態皮膜で覆われているため、
基本的には腐食に強いことで知られています。
ただ、海水中など塩素イオンに晒される場所で長期間使用すると、
被膜の再生も阻害されてこのように腐食が進行します。


今回は1年間もずっと浸けっぱなしで、しかも付着板による張力がかかっていたので、
一番負荷のかかる部分に虫食いのような孔食が生じていたようです。
むしろ、よく長持ちしてくれたことに感謝です。

さて・・・再利用などという淡い期待は見事に打ち砕かれてしまったので、
新しいシャックルとスイベルを発注することにします。

2014年12月10日水曜日

ふらふらと・・・

今朝は、付着板(回収中)の再設置場所の海底状況を確認するため、
船で同じ場所を行ったり来たりしてきました。

2014年12月6日土曜日

もう一つの紅葉

そろそろ地上の紅葉が終わりを迎えるこの季節、
出張の合間に海底の紅葉の様子も調査してきました。

前線通過に伴う大雨と強風でどうなることかと思いましたが、
なんとか1本だけ潜ることができました。
昨年の大浦湾に引き続き、この時期にも群体がいることを確認できました~。

2014年12月5日金曜日

紅葉

あっという間に師走になってしまいました。
先月はちょっと紅葉を見に行ったりしました。


赤く色付いた葉っぱを見ると、あのコケムシのことが気になります。
そんな季節です。

2014年11月22日土曜日

ふさふさ・・・

東北の某所に設置した付着板
一月ほどでビッシリと覆われました。
赤茶色の海藻に見えるものは、すべてフサコケムシの群体です。
フサフサです。
もふもふです。
思わず撫でてやりたく・・・なりませんか?(ーー;

フサコケムシ Bugula neritina (Linnaeus, 1758) は、コケムシの中でも有名な種の一つです。
特に、本種から単離されるブリオスタチンと呼ばれる生理活性物質は、
抗がん剤やアルツハイマーの治療薬として期待されています。
いやぁ~~コケムシすごいっ!!(≧▽≦)
(本当はフサコケムシの共生細菌がつくり出しているんですけどね・・・)
ちなみに、ブリオスタチン(bryostatin)の 「ブリオ(bryo)」は、
コケムシ(bryozoa)の「ぶりお(bryo)」ですv( ̄▽ ̄)v

それにしても、一月でこんなに付くなら、これを沢山集めれば・・・と思ったりしますが、
どうやらブリオスタチンの収量はとても少ないようです・・・_(_ _;
付着板に付いたフサコケムシの群体をゴリゴリ磨り潰して必要量集めるのはちょっと厳しそうです。

2014年11月21日金曜日

触手冠~その後~


触手がバラバラになってしまいました。

通りすがりのウミウシに捕食されたのでしょうか・・・
それとも、ウミグモにチューチュー吸われてしまったのでしょうか・・・

でも、今回のコケムシバルーンはかなり長持ちしました。
おかげさまで、思う存分楽しませてもらいました~。
触手の合間から顔を覗かせたり、頭にかぶったり・・・

2014年11月12日水曜日

弱った触手冠

弱ってきたところまで本物にそっくりなコケムシバルーン。
どれくらいそっくりかと言うと・・・

(少し弱ったコケムシの固定標本)


どうでしょう?

不規則に縮れた触手たち・・・

完全に開ききらない触手冠・・・

むふふ。

2014年11月11日火曜日

触手冠-バルーン編-

そういえば、先週ぼくの代わりに椅子に座らせておいたコケムシバルーンたちですが、
一週間が経過してどんな姿になっていたかというと・・・


おっ! 触手冠が少しばらけ始めていますが、まだ形を保っています。
さすがにこのままでは仕事ができないので、別の椅子に座らせてみました。


不規則に縮れた触手たち・・・

完全に開ききらない触手冠・・・

うん。 このへにゃっとした感じは、まさに弱ってきたコケムシの触手冠にそっくりです!
個虫の弱っていく過程まで再現できているとは、素晴らしいですね!コケムシバルーン!

2014年11月10日月曜日

触手冠

大槌沖で得られる殻長4 cmを超える大きな腕足動物。
2010年のサンプルたち

震災前にはこんな感じでゴロゴロ採れていましたが・・・
先月の調査でようやく震災後にも無事に生息が確認できました。

しばらく海水に入れていると、殻を開いてくれて、触手冠がよく見えます。
美しいですね・・・触手冠(´▽`

2014年11月7日金曜日

歯医者さんの音

今日は同定依頼のあった標本観察を済ませた後、コケムシを削ったりしておりました。


コケムシの研究道具で欠かせないツールの一つが、このルーターです。
先端をダイヤモンドビットやドリルにして使用します。

コケムシは貝殻や石にもよく付着しているのですが、
大きな貝殻に付着したままだと観察や整理がしづらいことも多々あります。
そんなとき、このルーターが大活躍するわけです!

・・・が、人によってはルーターで硬いモノを削る音が幼少期の恐怖体験と結びついているらしく・・・
念のため、作業を始める前に周囲に確認をとるようにしております(^^;

ちなみに、最近の歯医者さんでは音を軽減させたドリルを用いたり、
ドリルそのものを用いない治療法も活用されているようです。

私は幸いにも幼少期に歯を削られた経験がないので、この音はコケムシを削る音という認識です。
歯医者さんに行ったとき、「おっ。どんなコケムシを削っているのかな?」などと想像してみれば、
きっと、もしかすると、少しは緊張が解れる・・・かも・・・

2014年11月6日木曜日

砂泥の中から見つけたお宝

先月のドレッジ調査で得られた、タマサンゴの仲間とスナツブコケムシの仲間です。
どちらも砂泥底に生息しています。

まずはタマサンゴの仲間。
泥を体に付けていることも多いので、一見すると生きているか分かりづらいこともあるらしい。。
今まで死に殻と思って標本にしてきた子たちも、もしかすると・・・(。。;

ちゃんと海水に入れてやると、こうして触手を伸ばしてくれます。
しばらくすると泥も落として綺麗なお姿に。

つづいてスナツブコケムシの仲間。
ちなみに、今回生体が得られたのは団扇型のFlabellopora 属だけでした。
左の子たちは死に殻ですが、右の橙色をした子は生きています。
右下から少し伸びている白い根っこのようなものが、海底で起立するのに用いていた空個虫です。

そういえば、この子たち、どちらも生きている時は淡い橙色や桜色をしていました。
泥の中からこれらを見つけ出したときは、綺麗なお宝を見つけた気分で嬉しくなります。

大槌ドレッジ調査

もう一ヵ月前のことですが、大槌で2回目のドレッジ調査を行いました。
今回は京都大学、鳥取県立博物館、和歌山県立自然史博物館、琵琶湖博物館から、棘皮動物、サンゴ、小型甲殻類の専門家が乗船。
台風の合間でしたが、今回は運良く絶好のドレッジ日和となりました。

風も波も穏やかで、難なく沖まで来れました。

まだいけるよ~とのことだったので・・・

せっかくなので、今まで網を曳いたことがない“大根”に向かいました。

さっそくドレッジ投入。

いかにも何かが潜んでいそうな切り立った斜面・・・ワクワクします!

・・・さて、今回は一回目でサンプルをたっぷり得られたので、
つづいて御箱崎沖に向かいます。
(船上作業のため写真が少なくてすみません・・・)

御箱崎沖に到着。

御箱崎を眺めながらドレッジを曳きます。

見えてきました。

よいしょ。

ぎっしり詰まっていると、重たくてなかなか持ち上がりません。

ドレッジに詰まった泥や生物をばんじゅうに洗い出します。

そして・・・
各分類群の専門家が群がります。


私たちマイナー生物の研究者は、こうして一度の調査で得られたサンプルからお互い必要な生物を探し出します。
さすが専門家が集まったことだけあって、これまで見逃していたような発見も多数ありました。

震災から3年半・・・震災後の大槌でようやくこの光景を見られる日が来ました。
今回の調査では、生きた単体サンゴやスナツブコケムシも得られました。
こうしてセンターを利用して得られた成果は、この先少しずつ発表されていくことでしょう。
同乗研究者のみなさまに心から感謝です!
私も頑張らねば~。