2015年3月31日火曜日

ROVで出会ったお魚

先日のROV習熟訓練で出会ったカレイです。

かなり近づいても逃げなかったのですが、
目の前でふらふらしていたところ、ついに・・・
上体(?)を起こして仕方なさそうに泳ぎ去っていきました。

2015年3月30日月曜日

なまこで練習

ROVの習熟訓練で海底を探査しながら、
「誰か採集の練習に協力してくれそうな子はいないかな~」と物色していたところ・・・
いました。
立派なマナマコです。

さっそく、なまこの横に着底して、マニピュレータを使って・・・

むぎゅっ。

とったどー。

さて、サンプリングゲージはどこでしょう?
ROVに搭載されたソナーで探すと・・・
この円い影はゲージに違いありません!

近づいていくと・・・
ありました~。

で、ROVをゲージのプラットフォームに乗せて・・・
なまこさんを投入!
なまこさんは、無事にゲージの中へと落ちていきました。

ご協力いただいたなまこさんには、無事に練習を終えた後、もとの海に帰ってもらいました。
ありがとー。

2015年3月29日日曜日

いざ海底へ!

先日のROVの納品では、実際に海での動作試験と習熟訓練も行いました。

調査船「弥生」に積まれたROV。カッコイイ!

操作は、このように船内でモニターを見ながら行います。

さてさて・・・果たしてうまくいくでしょうか?

つづく

2015年3月28日土曜日

ぽいぽい入れていきます

今回はROV本体だけでなく、水中で採集したサンプルを入れておくカゴも新たに作製しました。

その名も、『サンプリングゲージ』
プランクトンネットにヒントを得て、業者とともに立案・設計しました。
ROVが乗るためのプラットフォーム付きです!

これにより、モノを採集する度に浮上するという手間を省くことができます。
この新システムがどれほど活躍するのかも楽しみです!

2015年3月27日金曜日

ROVがやってきました!

先日、大槌の国際沿岸海洋研究センターに、新たな調査機器が導入されました。
遠隔操作水中無人探査機(ROV)です。

ハイビジョン撮影のビデオカメラのほか、
生き物などを採集する際に用いるマニピュレータ(ロボットアーム的なもの)、
さらに、スラープガン(吸引装置)も備えております。

あと・・・手前に出ている黒いヘラは、付着生物を剥がすためのスクレーパーです。
これで、深い海底の岩肌に固着したコケムシも採集することができるはず・・・!

このROV、今後は大槌での様々な調査で大いに活躍してくれることでしょう。

2015年3月22日日曜日

コケムシとフラクタル

沖縄での調査といえば、滞在中に市場でロマネスコを購入しました。

フラクタルの例として紹介されることが多いロマネスコ。
う~ん・・・
このボコボコ感、イタコブコケムシの群体表面に少し似ているような・・・
似ていないような・・・
ちなみに、イタコブコケムシはこんな感じ。
あれ・・・?
冷静になって見返すと、ぜんぜん似てない気がしてきました・・・(=_=;

まぁ、似てるか否かはこの際おいといて・・・(^^;
イタコブコケムシのコブ(写真の白い部分)の一つ一つは、
個虫が集まってつくった「チムニー」と呼ばれる構造です。
イタコブコケムシような被覆性のコケムシは、
そのままでは排泄物が自分の上に降り積もってしまいます。
そこで、一定の範囲に存在する複数の個虫が肛門を一方向に揃えたり、
触手の長さを変化させることで、
共同排泄口のような場所をつくっています。

排泄物やゴミはそこに集められ、そこから勢いよく遠くへと飛ばされるわけです。
(from McKinney & Jackson, 1989)

じつは、日本ではすっかり有名な淡水性のオオマリコケムシにも・・・
ほら!火山のカルデラのような部分がチムニーです!

コケムシの群体の中では、個虫が互いに協力しあっているわけです。
群体って、本当に面白いですね~。

自然界に潜む様々なフラクタル図形。
海岸線や葉っぱがその例として有名ですが、コケムシも負けてはいません。
起立性の樹状群体はもちろんのこと、
ハネコケムシやアカリコケムシといった被覆性の群体も、なかなかいい感じですよ。

2015年3月21日土曜日

キミもいたのか~

前回紹介した沖縄の砂泥底に棲息するコケムシたち。
持ち帰ったそれらサンプルを研究室で飼育していたところ、
その中にスナツブコケムシの仲間も含まれていたようです。


水槽の中で、いつの間にか空個虫を伸ばして立ち上がっておりました。

う~む・・・可愛いです(´▽

2015年3月20日金曜日

砂泥底の季節

1月に実施した沖縄でのコモチカエデコケムシ調査では、
夏には姿がみられなかった“あの子”たちも戻っていました。
(参照:あなたはだれ?


もやもやっとして分かりづらいかもしれませんが、
カエデコケムシの足下で絡まり合っている茶色い群体が、その子たちです。

どうやら沖縄では、この時期は特に砂泥底が賑わっているようです。

2015年3月16日月曜日

もなかでこけむし

ある日、研究室に可愛いもなかがやってきました。
「加賀八幡起上もなか」とおっしゃいます。

で、写真撮影をしていたのですが・・・


ん?

おっ!

おおっ!?

しゅ...出芽して群体になりました!

・・・すみません。。横にしたところ、ついコケムシの個虫に見えてしまって。
この後、もなかたちはきちんと並べて箱に戻し、美味しくいただきました。
食べ物で遊んではいけませんよね・・・はい。

「加賀八幡起上り」といえば、七転び八起きで縁起の良いものとしても有名です。
どんなに倒れても空個虫をつかって再び起き上がるスナツブコケムシのように・・・!

そして、加賀といえば、北陸新幹線が開通しましたね。
これを機に、私もまた北陸に行ってみたいです。
そういえば、北陸のコケムシってあまり報告がなかったような・・・
いつか調査もしてみたいです(^^)


2015年3月13日金曜日

分類学と電子顕微鏡

もう先月のお話ですが、2月に学部生向けの全学体験ゼミなるものが実施されました。
例年、電子顕微鏡の体験講座では珪藻の観察を行っていましたが、
今回は卓上の低真空SEMの体験講座を追加しました。

観察対象はもちろん・・・コケムシですヾ(´▽`)

とはいえ、単に操作を体験してもらうだけではもったいないので、
電子顕微鏡の仕組みや低真空SEMの利点、
さらにそれらを使った分類学的研究の例などを紹介しました。


ちなみに研究例として紹介したのは、もちろんコケムシの分類学です( ̄▽ ̄+

2015年3月6日金曜日

あえてコケムシ、あえて分類学

東北マリンサイエンス拠点形成事業の中で、
東大大気海洋研究所が中心となっているプロジェクト「プロジェグランメーユ」。
このプロジェクトで刊行しているニュースレター「メーユ通信」第2号において、
コケムシのことが紹介されています。
今回はサケ特集とのことで、表紙は迫力ある定置網漁の風景です。

表紙をめくると・・・
いきなり「生き物図鑑」というコーナーに コケムシ が登場します。

このニュースレターはプロジェクトの関係もあり漁業に関係した話題が多いのですが・・・
突然、聞き慣れない生き物の名前やら分類学やら多様性などと連呼してすみません。

コケムシは食べられませんし、サケやアワビに比べて漁業的価値が見えづらく、
第一印象は「何故コケムシ??」と思われるかもしれません。
しかし、じつはコケムシを含めた付着生物の生態を明らかにすることは、
三陸の養殖漁業の復興や発展を考える上で無視できない存在なのです。

養殖生物や漁具への付着被害はもちろんのこと、養殖生物と水中の餌を巡る競合相手としても、
彼らの生き様や動向を知ることが大切になってきます。
こんなマイナーな生き物たちですが、人知れず私たちの生活に関わっているのです。
そんな付着生物の分類や多様性、生態を明らかにすることを、
もっと多くの人に身近なこととして感じてもらえればと思っています。

2015年3月5日木曜日

ひとでが足りません。。

先週の潜水調査二日目は、午前中で赤浜の調査を終了し、
午後には別の調査協力のため湾奥部でキヒトデを探しました。

ところが・・・
例年であれば確実にヒトデがいたはずの場所でも、ヒトデが一匹も見当たりません( ̄口 ̄;
ホヤとウニはいたんですけど・・・

餌を求めて定置網の下など別の場所に移動したのか、
はたまた今回の冷水塊を避けて水深の深い場所に移動したのか・・・

結局、この日のヒトデ収穫はゼロで終わってしまいました(。。;

今週に入って少しずつ水温は上昇してきているようですが、果たして・・・



[後日談]
結局、今週も大槌湾ではキヒトデは得られなかったものの、
隣の吉里吉里で無事に採集することができたようです。
よかったよかった・・・

2015年3月4日水曜日

冷水塊

2月があっという間に終わろうとしていた先週、大槌で久々に潜水調査を実施しました。

つくばで室内楽の演奏会を終えてから、そのまま車を走らせて大槌入り。
翌朝の潜水調査に備えて、仮設に着くなりお布団に潜り込みました。

今回の調査はちょこっと厄介でした。
というのも、じつは大槌では前の週の後半に冷水塊の湾入が確認されており・・・
(情報元:東京大学大槌湾環境モニタリング http://lmr.aori.u-tokyo.ac.jp/feog/kosei/ootuchi/index.html)

なんと、数時間で水温が5℃以上も低下しておりました!(゜_゜;
そんなわけで、水温23℃の中での潜水調査となったわけです。

瓦礫の間を進んで行きます。

ちなみに今回の調査は、赤浜の防波堤が再建する前に実施したのと同じ地点における、
防波堤完成後では初めての調査でした。

1m四方の枠を置き、その中に入った底生生物を採集します。
ただ、さすがに2℃の海水は、そんな単純作業すら容易にはさせてくれません。
30分も経つと、指が凍えて動かなくなってしまいました。

世の中には、ドライスーツ素材の比較的寒くないグローブもあるのですが、
それではゴワゴワしてしまって、小さな貝を拾い上げるなどの細かな作業ができません。
そのため、ここは調査目的を優先して薄いグローブで挑んだのでした。

今回は気温が高かったので、船上で凍えずに済んだのがせめてもの救いでした(^^;

2015年3月3日火曜日

標本登録

 2月は論文の執筆・投稿にあたり、
これまで観察してきた標本を新たに多数、博物館へと登録しました。
今回登録したのは論文3報分で、総数150点ほどあります。
手元の標本総数からみればこれでも極々一部ですが、
今後もこうして少しずつ着々と手持ちの標本について発表・登録していく予定です。


2015年3月2日月曜日

ホワイトボード設置記念

2月中旬は、標本の観察・登録・梱包・搬入出作業を行いました。
そんな中、自宅に研究スペースを設けることができたので、
標本に関するメモ用にホワイトボードを設置。
嬉しくて早速なにか書こうと思ったのですが、
特に書くことが思い浮かばなかったので・・・


本当に他に何も浮かばなかったのか、自分・・・(ー_ー;

2015年3月1日日曜日

凍った池での調査②

前回に引き続き、凍った池でのヒナコケムシ採集です。
小さな群体しか得られなかったため、昼食後に宍塚大池に向かいました。
ここは、里山の保全が行き届いており、
散歩していても気持ちが良いお気に入りの場所の一つです。

岸から池を覗いていたところ、手頃な木の板があったので拾い上げてみました。
すると・・・
いました!
しかも、午前にみつけた群体よりも立派です!

さらに驚いたことに・・・
こんな真冬にハネコケムシの立派な群体が!
こんな時期にチャミドロコケムシの群体が!

なんとヒナコケムシ以外に2種類もコケムシが得られました。
通常、ハネコケムシの仲間はこの時期は休芽(statoblast)で越冬しているはずです。
チャミドロコケムシも、冬芽(hibernacula)という状態で越冬中のはずですが・・・
予想外の収穫に、大いに盛り上がりました。

コケムシ採集をしていたところ、
宍塚の里山保全をされている及川様にお会いすることができました。
午前の採集で十分なサンプルが得られていたら・・・
午後の調査地として宍塚を選んでいなければ・・・
お会いすることはできなかったかと思うと、
懐かしい方にお会いできて、感慨深いものがありました。

調査後、池の周囲を散策しました。
カモさんたちと仲良くなりたいと思ったのですが・・・
全力で逃げられてしまいました。


凍った池での調査①

ご無沙汰しております・・・
なんと、しばらく更新しない間に2月が過ぎ去ってしまいました!
2月はいろいろ盛り沢山な一ヵ月でした。
これからしばらく、そんな2月のイベントを振り返りながら更新していこうと思います。

さて、2月の予定表を振り返ってみると・・・
第一週はウィーンから来訪した研究者と共に、淡水コケムシの採集を行いました。
そうでした・・・思い出しました。
この調査、非常に過酷なものでした。

昨年同様、目的のヒナコケムシが確実に棲息している某大学構内の池に行ったところ・・・
水面がなにやら不穏な気配を発しております。

あっ・・・
2月初旬の池は、氷に覆われておりました。

「凍った池でのサンプリングなんて前代未聞だ」などとぼやきながら、とりあえず入水。

池の氷は横からの力には強いらしく、そのままでは前に進めないので・・・
毎回こうして足を上げて氷を割りながら進んでいきます。

割った氷を目の前に投げると・・・
進む先もすべて氷に覆われている現実を目の当たりにします。

けっこうしっかりした氷です。

そんな池を彷徨うこと小一時間・・・
ようやくみつけました。
この木材の・・・
コレです!(写真中央のぷよぷよした部分)
小さな群体ですが、たしかにこの時期の群体を確認できました!

とはいえ、これだけではさすがにサンプルが少ない・・・ということで、
この後、昼食を挟んで、私の過去の調査結果を参考に別の池にも向かったのでした。


つづく