2014年10月27日月曜日

コケムシ学者とお花見

[前サイトからの移設記事]

関東ではいよいよ桜の見頃も過ぎようとしていますが、
先日はウィーンから来日していたコケムシ研究者仲間と “お花見” に行ってきました。

お花見に選んだ場所はここです。

T大学構内の池の畔にある、立派な桜の木。
満開です!

毎年この季節になると、僕は必ずこの場所を訪れます。
美しい桜と “魅力的な” 池のコラボが絶妙なのです。


では早速、用意したコンテナとバケツを開けて宴の用意を…

(ガサゴソ・・・)


さて、舞台は整いました。

満開の桜の下で、池に向かって宴の開始です!

(ヨイショ・・・)
① 水中から木の枝を拾い上げます


(ムム・・・)
② 枝の表面をじーっと慎重に観察します


(ムムム・・・っ!!)
③ 何かいます!


この枝を水中に入れてみると・・・
④ 綺麗なお花がたくさん咲いています!


これはヒナコケムシという淡水コケムシの群体で、お花に見えるのは触手冠です。
東アジア以外では北米から1例しか報告のない、世界中の淡水コケムシ学者が憧れる幻のコケムシなのです!
(世界中の淡水コケムシ学者と言っても、私を含めて片手で数えられてしまいますが・・・)
他の淡水コケムシが夏に群体をつくるのに対して、本種は冬に群体をつくる点でも非常に変わっています。

そんな珍しい生態をもつヒナコケムシですが、じつは日本では広く分布している普通種です。
とはいえ、群体は透明でなかなか見つけるのが難しいんですけどね…。

桜の花が散ると間もなく、ヒナコケムシの群体も休芽を残して消えてしまいます。
まさに、日本の春を堪能した “コケムシ学者のお花見” でした。

18 Apr. 2014