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昨年11月に竣工し、今年度から本格運用を開始した海洋調査船『弥生』。
3年前の震災で行方不明になった先代の『弥生』に代わり、様々な調査観測での活躍が期待されています。
今週は、この新『弥生』に乗って、大槌湾口部でのドレッジ調査を行ってきました。
2ヶ月前に悪天候のため中止となっていた調査のリベンジです。
ドレッジとは、海底の泥や砂と一緒に生き物を採集する底曳き網の一種です。
コレを海底に下ろして曳きます。
ちなみに、ドレッジのお尻に白い網が付いていますが、これは「サンゴ網」と呼ばれています。
ドレッジの枠にうまく入らなかった生物を絡め取るためのものです。
台風の影響が心配されましたが幸い波も穏やかだったので、さっそく調査開始です!
ドレッジを海底に投入して曳き始めました。
こうしてワイヤーを手で押さえると、ピョンピョンと震動が伝わってきます。
ドレッジが着底して、ちゃんと海底を掻いている証拠です。
(絶対に素手では触れないように・・・!)
5分ほど曳いたら、網を巻き上げます。
海中にドレッジが見えてきました!
さて、成果は…
貝と単体サンゴと…でも、ドレッジの大きさの割には少ないですね。
じつは、1回目は最後に根に当たってヒューズが切れてしまい、中身が海中に落ちてしまったのです。
そこで、すぐに2回目を実施。
今度はどうかな…
あっ・・・
泥がパンパンに詰まってます!
こうして、大量の泥と共にいろんな生き物が採れました。
大小さまざまなヒトデとか
縞模様の奇妙なヒモムシという動物など。
あと、コケムシも採れました!
スナツブコケムシの仲間。
砂泥底に棲息しているちょっと変わったコケムシです。
1~3回目の調査はすべて泥場だったので、最後は少し場所をずらしてみました。
沖の少し急な斜面を狙います!
その結果…
貝殻混じりで、いい感じの砂質です。
でもこれ、じつは砂ではなくて、ほとんどすべてコケムシの死に殻なんです。
別の場所に棲息している起立性のコケムシの折れた枝が、この場所に溜まっているようです。
なお、今回の調査では、震災前は砂質だった場所に泥が堆積していることも明らかとなりました。
今後は、こうした海底の状況やそれに伴う生物相の変化についても調べていきたいと思っています。
8 Aug. 2014