[前サイトからの移設記事]
じつはホヤ同士で睨み合いを続ける一方、背後ではすでに別の戦いが始まっていたのでした。
昨日の群体ボヤの全景を見てみると…
写真右上の部分でホヤ同士が睨み合っていますが、その頃、下の方では…
!!
なんと、コケムシと群体ボヤの戦いが始まっていました。
ホヤがコケムシを覆おうとして、コケムシがそれを防ごうとしているのか、
コケムシがホヤを押し退けて進出しているのか…
別の角度から。
う~ん…これはどうも、コケムシが壁になってホヤの進出を防いでいるように見えます。
しかも、写真の奥側ではすでにホヤがコケムシの壁を乗り越えて来ています。
(あぁ…コケムシが! がんばれ、コケムシ!!)
さらに別の場所では…
まさに四面楚歌。。
ホヤに完全包囲されたコケムシの町がありました。
なんとか壁で食い止めている状態ですが、果たしていつまでもつか… (がんばれ、コケムシぃ~!)
ところが、ホヤと戦っているこのコケムシを襲う者が他にもいたのです… (あぁ…なんてこと…)
ドロドロドロ…
コケムシ群体の上を覆うゼリー状の物体X。
この群体は、もはやほとんど物体Xに覆われてしまっています…。 (こけむぅ…)
おそるべし物体X。 その正体は…
なんと、これもコケムシなのです。 (こ、こけ…こけ…)
海にいるコケムシの多くは炭酸カルシウムの硬い骨格をつくりますが、
中には硬い骨格を形成しないものもいます。
この物体Xもそのグループに属するヤワコケムシの仲間です。
前々回に紹介した茶色いツブツブの集まった付着生物も、じつはこのヤワコケムシの仲間でした。
透明なので我々にとっては見つけるのが少し難しいですが、
上を覆われているコケムシにとっては最悪の侵略者と言えるでしょう。
(コケムシ同士でも争うなんて、付着生物の悲しい定めですね…)
とはいえ、群体ボヤとヤワコケムシに追いやられている哀れなコケムシにも、まだ可能性は残されています。
群体性の生き物は、群体内の個虫同士がつながっているので、
どこかの個虫が無事に十分な食糧を採ることができていれば、群体は生き続けられるのです。
いつか、群体ボヤやヤワコケムシの勢力が弱まったときに、勢いを取り戻すことができるかもしれません。
その日まで、がんばって耐えて…と言いたいところですが、ホヤもコケムシもみんな私が標本にしてしまいました。
結局、私が最大の敵だったようです。
みんな、ごめん・・・
26 May 2014