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ご無沙汰しておりました・・・
7月は前の職場である国立科学博物館にお邪魔して、
コケムシの分子実験を行う傍ら、新たな箒虫の切片を作成しておりました。
炭酸カルシウムの骨格をつくらない櫛口目コケムシや箒虫動物の観察には、切片の作製が欠かせません。
パラフィンで固めた標本をミクロトームという装置で厚さ数μmにスライスしていきます。
これをプレパラートにして、消化管の形態を観察したり縦走筋の数を数えたりするのです。
今回はその様子をご紹介します。
まず、パラフィンに包埋した箒虫の標本を削りだして、木のブロックに貼り付けていきます。
白いお皿はパラフィン包埋に使用したもの。
手前の細長い四角形をしたものが、削り出した試料です。
光に透かすと箒虫の姿が見えます。
スパチュラをアルコールランプで熱して、溶かしたパラフィンを接着剤代わりにします。
やけど注意!
ミクロトームにセット完了。
いよいよ切ります!
次々と箒虫の輪切りができていきます。
パラフィン切片はこうして連続切片を作製できることが大きな利点です。
そのため、すべての切片を撮影し、そこから元の形を立体的に復元することも可能なのです!
びよ~ん。
ちなみに、普段は大きめの筆に連続切片を巻き取ったりして回収しています。
今回は撮影のために柄付き針で持ち上げています。
スライドグラスに敷いた水の上に並べられた連続切片。
箒虫の輪切りが沢山並んでいます…
これを温めると、しわしわだったパラフィンがスーッと伸びて、綺麗な切片ができあがります。
あとはこれを染色してカバーグラスをのせて封入すれば、プレパラートの完成です!
27 Jul. 2014