[前サイトからの移設記事]
意外と身近なところに潜んでいるこんなコケムシたちを紹介するこのコーナー。
前回は購入した根コンブに付着していたコケムシをご紹介しました。
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『そこにいる・・・!身の回りのコケムシたち ~その1~』
さて、今回は水族館が舞台です。
水族館には実にいろいろな生き物が飼育・展示されています。
最近では珍しい深海の生物や小さくてちょっとマニアックな生物の展示も増えてきて、その楽しみ方も人によって様々です。
僕も水族館は大好きで、普段はなかなか見る事ができない生き物たちの生きた姿を観察するのは、いつになっても飽きることがありません。
そんな僕のもう一つの水族館の楽しみ方…
それは、水槽の中に展示生物ではない小さな生き物を探すこと。
たとえば、展示水槽の中にある本物の岩(ライブロック)の隙間を見ていくと…
いました!ホウキムシの仲間です! (ちょっとわかりづらいですが、写真中央で白い触手冠を広げています)
岩の割れ目に棲息していることから、おそらくヒメホウキムシPhoronis ijimai もしくはPhoronis hippocrepia と思われます。
この岩の産地がとても気になるところです。。。
ところで、もう数年前の話になりますが、分類学会で名古屋港水族館を訪れた際、面白い展示をみつけました。
見たところ魚も入っていない岩だけの水槽のようですが、よく見ると水中に数枚の板がぶら下がっています。
そして、その板に向かってカメラが設置されており、手前のコントローラーでカメラを自由に動かして板の表面を観察できるようになっていました。
まさに水中の付着板をリアルタイムで観察できるというわけです。
これは…チャンスです!
さっそく探してみると、すぐに見つかりました。
レース状の苔のようなもの。
カメラのズーム機能を使って拡大してみましょう。
はい。コケムシです。
幾何学的なレース模様が美しい…
この姿を少しでも多くの人に見て欲しい…
せっかくなので、モニターいっぱいにコケムシの姿を写した状態にしたままその場を離れて、柱の影から人々の反応を見守ることにしました。
「わぁ~!何この綺麗なレース☆これも生き物なのかな~?」
(↑ 僕が期待した反応)
そこへ一人の少年が走って来ました。
「わぁーっ!何コレーー!」
ガチャガチャ(← コントローラーのボタンを連打)
コケムシは一瞬でフレームアウト…orz
残念ながら、そのあと彼がコケムシの姿を再びフレームに捉えることはありませんでした。
でも、子供が自分の手でコントローラーを操作しながら板の上の生き物を観察している姿をみて、あらためてこの展示の素晴らしさを再認識しました。
付着生物たちにもスポットライトを当ててくれて、ありがとう。
みなさまも水族館にいらした際には、自分だけのお気に入りのマイナー生物を水槽の隅っこの方で探してみてはいかがでしょうか?
3 Apr. 2014